イベント開催報告「国家公務員よ、越境しよう。-令和元年、キャリアづくり新時代-」

 一般社団法人トライセクターは、令和元年7/30(火)、「官僚が行う副業・兼業などの越境活動」を支援し、地方公共団体や一般社団法人をはじめとした、公益を目的とする幅広い非営利団体と官僚との間のマッチング・伴走支援を行うためのイベント「国家公務員よ、越境しよう。-令和元年、キャリアづくり新時代-」を開催しました。


 今回は、「令和元年、キャリアづくり新時代」と題して、国家公務員を中心に、地方公務員も含め、公務員全ての方々に向けて、「公務員のキャリアづくり」のあり方を、考える会を開催しました。当日の概要は以下の通りです。


 当日は、当団体の代表理事の山内(元財務省)より、働き方改革、人生100年時代、キャリアの自律などが政府から発信される一方、当の官僚自身は、キャリアの自己決定が難しく、ジョブローテーションによる短期間の異動により、実践的な学びの場が不足している中、高い志を持った官僚が公益的活動のため、主体的に選択した分野において兼業を行うことが、国家公務員自身のキャリアにとっても、社会全体にとっても望ましいのではないか、という団体としての活動目的・趣旨の説明がありました。



 特に、地方創生の観点からも、中央省庁に優秀な人材が偏るのは望ましくなく、国が行うシティ・マネージャー制度のような地方自治体への出向を伴う形に限界がある中で、国家公務員がスポット的に地方自治体のお手伝いを行うことに大きなニーズがあると説明し、実際の首長の「声」として、京都府亀岡市の桂川市長、奈良県生駒市の小紫市長からの当団体への応援メッセージと志高い国家公務員の受け入れを歓迎する声を紹介しました。



 その後、石山恒貴 法政大学大学院政策創造研究科教授より、「越境活動の意義」と題した基調講演を頂きました。日系企業、外資系企業を経て現職にいらっしゃる石山教授は、日本におけるパラレルキャリア(越境)研究の第一人者であり、「越境的学習のメカニズム」(福村出版)などの著書があります。石山教授からは、自分の慣れ親しんだコミュニティを離れる「越境」が個人のキャリアづくりにもたらす良い効果の説明と同時に、日本において副業を禁止している企業の割合が8割もあり、ハードルも一定存在する中で、個人としてどのようにスムーズに「越境」をしていくか、についてご説明頂きました。



 メインのパネル・ディスカッションでは、当団体副理事長の古屋星斗(元経産省)がモデレーターを行い、「越境的学習」研究の第一人者である石山教授、副業・兼業・働き方改革に関する内閣人事局の辻企画官、本業の傍ら、食や農林水産業をテーマにした早朝勉強会「霞ヶ関ばたけ」の代表を務め新しい働き方を自ら実践する現役国家公務員の松尾真奈さん、当団体代表の山内絢人が登壇し、国家公務員のキャリアづくりのあり方について、パネルディスカッション形式で掘り下げ、活発な議論が展開されました。議論の内容自体も、国家公務員個人としてのキャリアをいかに形成していくかという、国家公務員の視点に寄り添いながらも、そうした新しい時代のキャリアのあり方をいかに政策的に裏付けていくかも含め、ミクロ・マクロ両方の視点が織り交ぜられた充実したディスカッションとなりました。



 一般社団法人トライセクターでは、今後も、国家公務員一人一人の主体的なキャリア選択を後押しするためのイベント・各種ワークショップを開催予定ですので、ぜひご期待ください。


  1. ◆登壇者等プロフィール

  2. ・辻恭介氏

     内閣官房内閣人事局企画官。1976年生まれの42歳。

     同じ国家公務員の妻とともに、3人の男子(!)の子育てと仕事に奮闘する日々を送っている。個人として日々感じるさまざまな課題と、職務として担当する様々な制度や仕組みとの接点でありたいとの思いを胸に、ここ数年は、意欲と能力があれば場所と時間にとらわれず活躍できるような職場環境づくり(=働き方改革)に取り組んできた。 現在は、より社会の変化の速度が早まり、経験したことのない難題が次々とふりかかってくるであろう日本においては、「個人」がその属する組織や与えられた役割にとらわれて「知」が分散している現状から早く脱し、問題意識やパッションを同じくする「個人」どうしが有機的に連携して課題解決にあたっていく「知の融合」を実現することこそが最重要であると考え、今回のイベントの趣旨に賛同。クラシック/現代音楽コンサートの企画運営を行う(株)ミュージカリスランド P&Dの「おなじみアーティスト」としての活動をはじめ、ピアノ演奏活動にも精力的に取り組んでいる。

     1999年総務庁(現 総務省)採用。

  3. ・松尾真奈氏

     1989年生まれ。大学在学中、京都府・京丹後市にて「田舎で働き隊」として活動。そこで出会った人や風景に魅了され、2013年農林水産省に入省。本業の傍ら、食や農林水産業をテーマにした早朝勉強会「霞ヶ関ばたけ」の代表を務めるなど、国家公務員の新しい働き方を実践している者として注目を集めている。

  4. ・石山恒貴氏

     法政大学大学院政策創造研究科教授、博士(政策学)。国内外の大手企業において一貫して人事労務関係を担当、米系ヘルスケア会社執行役員人事総務部長を経て、現職。「パラレルキャリア」、「越境学習」を専門領域とし、日本における第一人者として広く発信を行う。著書に『時間と場所を選ばない パラレルキャリアを始めよう!』(ダイヤモンド社)、『越境的学習のメカニズム 実践共同体を往還しキャリア構築するナレッジ・ブローカーの実像』(福村出版)、『会社人生を後悔しない40代からの仕事術』(ダイヤモンド社)など多数。

  5. ・山内絢人

     1988年長野県飯田市生まれ同市育ち。㈱Glocal Innovation Holdings 代表取締役、一般社団法人クールジャパン協議会代表理事。長野県立飯田高校、東京大学法学部卒、ロンドンビジネススクール・ファイナンス修士号、ケンブリッジ大学・企業法修士号取得。2011年財務省入省。入省後は、国際局(G7/G20/IMF関連政策を担当)、主計局(財政関連法規を担当)を経て退職、独立・起業。「一人の事業家として、自らが正しいと思うことをやり抜くことを通じて、世の中により良いインパクトを与えたい」との思いで、官民横断的に活動。

  6. ・古屋星斗

     1986年岐阜県多治見市生まれ。経済産業省出身、一般社団法人スクール・トゥ・ワーク代表理事。一橋大学大学院(教育社会学)修了後、経済産業省入省。産業人材政策、クリエイティブビジネス振興、福島の復興、「未来投資戦略」の策定に携わり、アニメの制作現場から、東北の仮設住宅まで駆け回る。2017年同省退職。現在はライフテーマである、次世代の若者のキャリアづくりについて、民間企業にて研究者として活動する傍ら、定時制高校や職業高校において対話型キャリアづくりを実践する一般社団法人スクール・トゥ・ワークを創設。「今活かしきれていない若い力が、この国最後の埋蔵金」であると確信し、若者が活躍できる環境を実現するため、実践から研究まで活動する。